WORKSHOP TITLE

動きに合わせて光る
コスチュームをつくってみよう

TEACHER

西千葉工作室

REPORT

身体の動きによって光るコスチュームってなんだろう? そんなワクワクした気持ちを胸に臨んだこの授業は、光る仕組みをつくるところからスタートしました。机の上に配られたのは導線やスイッチ、LEDに基盤などの、電子部品の数々。これらの部品を組み合わせて光るコスチュームづくりにチャレンジしました。

授業を担当する西千葉工作室の皆さんは、稲毛区で様々なものづくりをサポートしています。木工や手芸の他、レーザー加工機や3Dプリンタなどのハイテク機器を使った工作など、サポートの範囲は多種多様。今回の授業に取り入れている電子工作もそのひとつです。電子工作とは、電子部品や回路、ソフトウェアを組み合わせて行う工作のことで、みなさんが普段使っているスマートフォンやパソコンなども様々な電子部品の組み合わせによって作られています。

回路を繋げてみよう

開発者になった気持ちで電子回路を組み立てます。基盤にマイコンと呼ばれる小さなコンピュータとセンサー、LEDをつなげます。回路の組み上げには、はんだ付けを行わずにできるブレッドボードという基盤を使用しました。線の抜き差しができるので、配線の失敗があっても差し替えれば何度でもやり直しが効くというすぐれもの。先生のアドバイスを受けながら失敗を恐れずに作業を進め、電子工作の工程を体で覚えていきました。

最後の工程で電池を取り付けたらいよいよスイッチオン。LEDがピカピカと光りはじめました。初めて触る電子部品の数々に奮闘していた参加者たちですが、ついに光ったLEDを見て皆一様に笑みがこぼれました。スイッチを入れると光る機器には普段の生活でも慣れ親しんでいますが、自分で回路を組み込んだともなれば感動もひとしお。

動きによって色や光り方が変わる

今回の装置にはLEDに加えてセンサーを取り付けました。加速度センサーという速度変化を検知できるセンサーを使用していて、装置の傾きや動かす速度によってLEDの色や光り方が変わります。センサーで検知した値を基にマイコンに組み込まれたプログラムがLEDの色を変えているのです。電球とは異なり、色や光の強さを変えられるLEDの特性を踏まえた装置です。センサーを握り腕を振ってみると、その傾きに応じて赤、黄、緑など色とりどりに変化します。また、動かす速度によって光の点滅の速さも変わります。参加者はブンブンと振り回したり、飛び跳ねたりしながら、センサーの仕組みを夢中になって確かめていました。

身体の動きの変化を光で可視化する

動きによって光り方が七変化する装置ができたら次はいよいよそれを身に着けてみます。センサーはどこにつけて動かしたら面白いかな? 紐状のLEDはどこにつけたらかっこいいかな? それぞれの思うやり方で装置の着け方を色々と試してみました。頭、手首、腰など、おもしろく光る装着場所を探して、時間ギリギリまで工夫する参加者が印象的でした。着け方が決まったら、光っていない状態でもその衣装がかっこよく見えるように手芸用品などで仕上げをして完成です。
さっそく暗室へ移動して発表会を行いました。暗闇ではお互いの身体の動きは見えづらいですが、動きが光り方や色へと変換されることにより可視化されます。参加者はまずセンサーの位置と動き方による光の変化を順に発表したあと、音楽に合わせてみんなで踊りながら様々な色に光らせたり、指定の色にLEDが光るポーズを決めてみたりしました。お辞儀と連動して色が変わるカチューシャや、スキップをしたら光る靴、腰を降ると光るはちまきなど、身体全体を大きく動かすことで光り方が変わる作品が目を引きました。中でもダンスの動きに合わせて色が変化するズボンは、まるでステージ上で踊るダンサーの衣装のようでした。

電子工作の可能性を知る

今回の授業では、電子工作をツールに身体の動きを光に変換して可視化することにチャレンジしましたが、電子工作でできることの可能性は無限大。センサーなどのパーツの組み合わせとプログラムによって自在に機能を設計できる電子工作は、今日の生活に欠かせない機器づくりだけでなく、私たちの想像の具現化を叶える方法のひとつであることを示した授業でした。

 

Text: Hideyo Ryoken

写真

西千葉工作室のプロフィール

「つくる」「なおす」「つくりかえる」で日常をもっと楽しく。西千葉工作室は「生活に根ざすものづくり」にみんなと一緒にチャレンジする、まちの工作室です。

http://nishichibakosakushitsu.com/

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