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衣装をつくって仮装パレードをしよう!

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子ども創造室

REPORT

クリエイティビティを育む学び場「子ども創造室」による、全5回のワークショップです。このワークショップでは、自分だけのキャラクターを考えて、そのキャラクターになるための衣装をつくり、最後の発表では、その衣装を身につけてパレードを行いました。私達にとって身近な服の“自分以外の何か”に変身できるという面白い側面を、衣装づくりやパレードを通して体験しました。

「衣装」って何だろう?

1回目の授業は「衣装」って何だろう?という話から始まりました。お祭りのときに着る衣装、身分を表す衣装、アニメなどで主人公が変身するときの衣装など、服には単に身を守るための機能だけではなく、自分が何であるかを表す機能もあることを、いろんな事例を通して学びました。

衣装で変身を楽しもう。

今回の連続ワークショップでは、特に「自分ではない何者かに変身できる」という衣装の面白さを体験することを目指し、コンセプト作りから、衣装作り、そして仮装パレードを行いました。
衣装作りは「千葉の野菜」というテーマで、自分が変身するキャラクターをつくることから始まりました。用意された野菜は、以下の10種類、とうもろこし、春菊、マッシュルーム、かぶ、インゲン、さつまいも、ししとう、かいわれ大根、落花生、ねぎ、です。参加者はそれぞれ、異なる野菜をもとにキャラクター像を考えていきます。

観察する・調べる

授業では、それぞれの参加者に野菜が配られ、手にとって触感や重さを確かめてみたり、色々と用意された図鑑、レシピ、産地情報を読んでみたり、様々な角度から野菜を観察し、ワークシートに、野菜の印象や、情報を書き込んでいきました。


キャラクターイメージを言葉にする

次のステップでは、野菜のキャラクターを考えます。 「この野菜が人だったらどんな人?」と書かれたワークシートを使って、自分のテーマの野菜を人に例えると、どんな性格なのか、何が得意で、何が苦手か、どんな仕事をしていそうか、といったことを書き出します。

先生からは、例として梨をもとに考えたキャラクターの紹介がありました。それぞれの野菜の特徴から何を感じて、そこからどんなキャラクターを想像するか、色んな可能性があることを感じることができました。

参加者のみんなのワークシートを覗くと、アイドルや獣医さんなど、色んな性格の、色んなキャラクターが書かれていました。

マテリアルボードを作る

2回目の授業では、前回それぞれ考えた野菜のキャラクターの衣装のイメージを、どんな素材で表現するのかを考えました。
教室に入ると、部屋の真ん中にある机の上には、たくさんの布や洋服、容器、CDケースやパッケージ資材、ダンボールに、風船に、造花、ホース、卵パック、、、などなど、数え上げられないぐらいの色んな物が山積みになっていました。
今回のワークショップのために、子ども創造室が開催されている西千葉の地域で、近隣の方から寄付を募って集まった必要なくなったものだそうです。要らなくなったものや、身近にあるものからでも、服は作れるんだということが、体験できるようにもなっていました。

授業では、ワークシートを使って、たくさんの擬音語の中から参加者がイメージしているキャラクターに合った言葉を選んだり、そのキャラクターが着ていそうな服の種類考えてみたり、色のイメージを書いてみたりすることで、頭の中のモヤモヤしたイメージを言葉に変換していきました。

そして、そのシートを見ながら、山積みになった材料の中から、キャラクターのイメージに合った素材を選んでいきます。フワフワした感じってどんな素材? ピンクっぽいっていうのは、どんなピンクだろう、そんなことを言いながら、衣装に使う素材を1枚の板に貼り付けた「マテリアルボード」を作りました。

衣装づくり

3回目以降の授業からは、いよいよ服作りがスタート!前回の授業で作ったマテリアルボードを見ながら、各自衣装に使う素材を集めて、まずは、土台の部分を作りました。

使う道具は、ハサミとボンド。大きな布をくり抜いて、上着の部分を作ったり、袖を付けて、そこにさらに色々な素材をくっつけていったり、人によって服の形や作り方は様々でした。これまでの授業で書いてきたキャラクターのイメージと照らし合わせたり、さらにイメージを膨らませたりしながら、装飾も進めていきます。

小道具も作る

4回目の授業では、帽子や、靴、マスクなどのアクセサリーも作りました。「魔法が使える農家」というキャラクターのアクセサリーとして魔法の力がある髪飾りを作ったり、「探検好きなバスガイド」というキャラクターの持ち物としてマイクを作ったり、小物が加わることで、さらにキャラクターの世界観が深まっていきました。

靴やバッグ、扇子や帽子など、どんなアクセサリーを持つかも、キャラクターによって様々で、教室がとても賑やかになっていきました。

仕上げのメイク&ヘアデザイン

5回目の授業では、さらに各自キャラクターになりきるためのヘアメイクも考えました。最初はどんなイメージが良いかをスケッチして、そのスケッチをもとに先生たちにセットしてもらいます。

参加者全員、衣装も合わせて、ヘアメイクも決めて、ファッションショーのメイクルームのようでした。

ヘアメイクが終わったら、最後に完成した衣装も合わせて、それぞれのキャラクターに「変身」して、撮影を行いました。ポージングもそれぞれのキャラクターをイメージして、元気な感じや不思議な感じを出したり、小物を使った演出をしてみたりと、個性が光るものになっていました。

 

参加者10名のテーマとなった野菜と、そこから考えたキャラクターイメージ、そして衣装はこちら!

 





 

 

発表パレード!

発表会の日は、控室でそれぞれの衣装・ヘアメイクをセットしてから発表を行うホールまでみんなで移動しました。ホールではファッションショーのランウェイのような形で、観客の前でお披露目をしました。

それぞれの衣装がどんなキャラクターをイメージして作られたのか、プロセスなども含めて先生からの紹介もあり、音楽が流れるなか、照明が焚かれたステージの上を一人ずつ歩きました。

このワークショップでは「自分ではない何者かに変身できる」という衣装の面白さを、服作りやパレードを通して学びました。

普段、自分が着る服を選ぶときは、自分の好みや、防寒、スポーツ、セレモニーといった用途に合わせて選ぶということが多いかと思いますが、自分ではない何かに変身するというお題によって、単に自分の着たい服を作るのではなく、服には世界観を表現できたり、また、それを身につけることによって、自分を普段と違って見せることができるという側面があることを感じられたと思います。自分の日常に何か新鮮なものを持ち込みたい、今の自分を変えたい、そんなときに衣装によって、いつもとは違った自分になることができるかもしれない(そして、その衣装は身近なものでも作れる!)、そういうヒントにもなったかもしれません。

Text: Yasuaki Mio

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子ども創造室のプロフィール

自分で考えて行動し、道を切りひらき、楽しむ力を。子ども創造室は、ときにはものをつくり、話し合い、じっくり観察し、自分の考えを発表することを通して、創造力を育む学び場です。
https://kodomosouzoushitsu.com/

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